COLUMN

耐震等級3の中身と本当の安全性。許容応力度計算にプラスする確認とは

S様邸LDK
 
令和8年熊本地震において被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
 
この記事では住宅に携わる者として安全な住まいをお届けするため、 家づくりの重要事項「耐震」について解説します。「耐震等級3」という言葉を耳にする機会は多いですが、実は耐震等級3の中身には壁量計算と許容応力度計算の2種類があり、安全性が大きく異なります。
 
今回は2025年の法改正にも触れながら、許容応力度計算をしないリスクや、ウォールスタットを使った強固な家づくりの重要性をお伝えします。
 

「耐震」についてこの記事で分かること

  • 耐震等級3を証明する計算方法には大きく分けて、簡易的な壁量計算、品確法での中レベルの計算、さらに緻密な許容応力度計算が存在
  • 許容応力度計算は柱や梁の1本にかかる力まで細かく計算し、建物の安全性を科学的・総合的に証明
  • 2025年の法改正で今まで緻密な計算が免除されていた木造2階建ても、その免除がなくなったものの、構造計算をするかしないか?は住宅会社の姿勢による
  • 構造計算をした上で、実際の地震波でシミュレーションすると、弱点となりやすい箇所が可視化され、強度補強の必要性が明確になります
  • 検証して弱かった部分の構造を強化しても追加費用は大きく変わらないため、シミュレーションをする方がより安心

1. 耐震等級3の中身と3つの計算方法

 
 耐震等級3の中身と3つの計算方法
 
地震が多い日本において、建物の耐震性能は家づくりの最も重要なテーマの1つです。
住宅会社のホームページなどで「耐震等級3」という表記をよく見かけますが、その中身の計算方法について詳しく説明されているケースは多くありません。
 
耐震性を確認するための計算方法には大きく分けて3種類が存在し、建物の安全性を確かめるための精密さが根本的に異なります。
 
1-1. 耐震性を確かめる3つの計算方法の違い
 
耐震性を確かめる3つの計算方法の違い
 
耐震性を計算する方法には、「壁量計算(仕様規定)」「品確法による計算」「構造計算(許容応力度計算)」の3つがあります。
もっとも簡易的な計算方法が「壁量計算(仕様規定)」で、地震や風に耐える壁の量が足りているかを中心にチェックするものです。ただし、正確には壁量計算では耐震等級は確認できません。
 
2つ目の品確法による計算は、壁量計算に加えて床や基礎の強度も考慮する中レベルの計算で、長期優良住宅の取得をするために必要な計算です。
 
そして3つ目が、最も緻密な「構造計算(許容応力度計算)」です。これは建物の自重や雪の重さ、風の力などあらゆる方向からかかる力を想定し、柱や梁など部材一つひとつの安全性を確認する計算です。
 

計算方法 特徴と精密さ 確認する主な内容
壁量計算 簡易的な確認(数ページの計算書) 壁の量や配置バランスの確認
品確法での計算 中レベルの確認 壁量に加え、床や基礎の強度も確認
許容応力度計算 最も緻密で複雑(数百ページの計算書) 柱や梁の1本にかかる力まで細かく分析

 
1-2. 許容応力度計算がもたらす科学的な証明
 
許容応力度計算がもたらす科学的な証明
 
壁量計算は法律で定められた最低限の安全基準をクリアするための簡易的な方法であり、数ページの計算書で完了します。
一方で許容応力度計算は数百ページに及ぶ詳細な計算書を作成し、建物全体にかかる力を分析します。この許容応力度計算を行うことで、特定の柱や梁にどこまで負荷がかかるかを科学的かつ総合的に証明することが可能になります。
 
同じ「耐震等級3」という言葉であっても、簡易的な壁量計算によるものと、緻密な許容応力度計算によるものでは、中身の信頼性が大きく異なる点を知っておく必要があります。
 

2. 2025年の法改正と問われる住宅会社の姿勢

 
これまで一般的な木造2階建て以下の住宅は、「4号特例」という建築基準法上の規定により、確認申請時に構造計算書の提出が免除されていました。
しかし、この制度が2025年に法改正され、家づくりを取り巻くこれまでの常識が大きく変わってきています。
 
2-1. 計算免除の廃止と残された課題
 
計算免除の廃止と残された課題
 
2025年4月の法改正により、いわゆる「4号特例」が縮小され、木造2階建て住宅でも確認申請時に構造安全性を確認する図書の提出が義務付けられるようになりました。
 
これまでは建築士の簡易的な計算のみで図書の提出が不要だったため、第三者のチェック体制が働きにくい側面がありました。
今回の法改正は、国自体がこれまでの基準やチェック体制では不十分であったことから、まずは簡易な計算であってもチェックをすることを義務化したわけです。
 
しかし注意しなければならないのは、この法改正によって木造2階建てすべてに「許容応力度計算」までが義務化されたわけではないという点です。
 
2-2. 構造計算をするかしないかは住宅会社の判断
 
構造計算をするかしないかは住宅会社の判断
 
提出義務が厳格化されたとはいえ、依然として簡易的な壁量計算だけで建築審査を通すルートは残されています。つまり、法律の最低基準さえクリアすれば、緻密な構造計算をせずに家を建てることは今でも可能です。
 
だからこそ、許容応力度計算を全棟で実施するかどうかは、住宅会社がどこまでお客様の安全を本気で考えているかという「姿勢」に大きく依存することになります。
法的な義務がないからといって簡易的な計算で済ませる会社と、家族の命を守るために自主的に厳しい計算を行う会社とでは、提供する住宅の安心感に決定的な差が生まれます。
 

3. 許容応力度計算に加えたプラスアルファの確認

 
ただ、昨今は法改正の影響もあり、簡易的な壁量計算から構造計算へ移行している会社も増えてきています。
一方で、同じような構造計算をしていても、プラスアルファの確認があるかどうか?が見るべきポイントになってきます。
 
誠一建設の場合、「構造計算(許容応力度計算)だけで繰り返しの地震に安心でしょうか?」とお客様へ投げかけを行っております。
 
3-1. 個別プランのシミュレーションで地震波
 

 
構造計算をした上で、実際の地震波でシミュレーションすると、弱点となりやすい箇所が可視化され、強度補強の必要性が明確になります。
 
誠一建設では、パソコン上で実大耐震実験のような検証ができる「ウォールスタット」という解析ソフトを採用しています。
このウォールスタットで、実際起こった阪神淡路大震災の地震波を使って、縦横2方向のシミュレーションを5回行っております。
 
さらに、熊本地震(前震・本震)や令和6年能登半島地震の揺れでも3回のシミュレーションを実施します。
過去の実際の地震波をお客様の建てる予定の間取りにあてはめることで、机上の計算だけでは見えにくい建物のダメージを視覚的に確認することが可能になります。
 
3-2. 家族と資産の安全を盤石なものに
 

 
構造計算を行ったお客様のプランをウォールスタットで検証し、仮に弱かった部分があった場合、その構造部を強化しても追加費用は心配するような金額にはなりません。
なぜなら、元々構造計算で設計していれば、基本は強い構造を成しているからです。
 
構造計算(許容応力度計算)の実施はもちろんですが、ウォールスタットでのシミュレーションを経て、地震によるねじれが少ない建物へと間取りを調整していくことが、本当の安心につながります。
許容応力度計算はもはや当たり前の過程として、ウォールスタットでの確認を重ねることで、家族の命と将来の安心を盤石なものにできます。
 

4. まとめ

 
今回は構造計算(許容応力度計算)を行わないリスクと、耐震等級3の本当の「中身」について解説しました。
 
誠一建設では、見た目の美しさや使い勝手の良さはもちろんのこと、ご家族が安心して暮らせる「建物の根本的な強さ」を何より大切に考えています。
 
構造計算だけで満足するのではなく、実際の地震波を用いたウォールスタットでの検証を重ねることで、繰り返しの地震にも耐えうる本当の安心をご提供しています。
せっかくの新築、万が一の災害時に後悔しないためには、目に見えない構造部分にどこまでこだわっているかを見極めることも大事です。
 
地震で不安が広がる今、構造に関する疑問や不安なことがありましたら、誠一建設までお気軽にご相談ください。

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開催日時:土・日・祝 / 10:00-19:00(予約制)
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