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UA値だけではダメ?「住み心地」から住宅性能を考えるには

住み心地のいい家
 
昨今はZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)をはじめとした高性能住宅が、新築では一般的になりつつあります。国の基準も年々引き上げられ、「断熱等級6」「HEAT20 G2レベル」といった言葉を耳にする機会も増えました。
 
UA値(外皮平均熱貫流率)やC値(気密性能)などの数値は、住宅性能を比較する上で重要な指標です。ただし、「数値が良ければ住み心地も良い」とは限らないのです。今回は、そんな数値だけを追い求めるのではなく、実際の「住み心地」を高めるために必要な視点を解説していきます。
 
それでは、早速「本当に住み心地の良い家をつくる」ためのポイントを見ていきましょう。

「本当に住み心地の良い家をつくる」ためのポイント

  • UA値は、壁や窓サッシなどの熱の伝えにくさの「平均」を示しているだけで、部屋ごとの快適性と必ずしも直結しない
  • 愛知県は冬の日射が多く取得が期待できる一方、夏は高温多湿で、設計に季節特性を反映する必要がある
  • 冬の日差しは暖房機器並みの効果があり、積極的に取り込むことで快適性が向上する
  • 夏の日差しは「外でカットする」ことが重要。庇やシェード、外部ブラインドなどの設計配慮が必要
  • 通風は万能ではなく、愛知県の夏では効果が限定的。換気や空調の設計が住み心地を左右する

1. 断熱性能だけでは快適に直結しない事実

断熱性
 
UA値とは、建物全体の外皮(壁・屋根・床・窓など)から、どの程度熱が逃げやすいか(逃げにくいか)を示す「平均値」です。値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高いことを意味します。
 
しかし、UA値はあくまで建物全体の平均値。たとえば南面に大きな窓を設けてリビングを開放的にした場合、その部分だけ局所的に熱が逃げやすくなります。逆に北側の個室は日射熱が伝わりにくく、部屋ごとの体感温度差が大きくなることもあります。
 
つまり、「UA値=快適さ」ではなく、「UA値はあくまで性能の一側面」に過ぎないのです。
 
1-1. 愛知県の気候を考慮したオススメ最適値
 
愛知県
 
愛知県の気候を考慮すると、断熱等級6前後(UA値0.46程度)がバランスの取れた目安です。
 
等級5(ZEH水準・UA値0.6程度)でも一定の快適性は得られますが、窓の配置や暖房の使い方によっては寒さを感じるエリアが生じる場合もあります。逆に等級7(UA値0.26以下)まで上げると、コストが跳ね上がり、日射の取り入れ方や換気設計が伴わなければオーバースペックになることもあります。
 
要するに、「地域特性・間取り・日射取得・換気方式」などを踏まえた総合設計こそが、快適性を左右する要素なのです。
 

2. 太陽光発電システムの必要性

それでは、太陽光発電システムを設置する「意義」を見ていきましょう。
 
1-2. 断熱性=保温性は冷暖房の効きに影響
 
エアコン
 
断熱性が高いほど、冷暖房で作った熱を逃がしにくくなるため、エアコンの効率は向上します。ただし、「効率が良い」と「快適である」は必ずしも一致しません。
 
たとえば、断熱性が高くても換気や湿度コントロールが不十分であれば、冬は乾燥し、夏は蒸し暑く感じるなど、体感上の不快さが残ることがあります。また、エアコンは主に「顕熱(温度)」を制御する機器であり、「潜熱(湿度)」までは十分に処理できません。
 
つまり、断熱性能を上げても、湿度を含めた空気環境が整っていなければ快適とは言えないのです。そのため、断熱・気密・換気・空調・日射制御をセットで考えることが重要です。
 
1-3. 気密性は何のために上げるのか
 
気密測定
 
断熱性能と同じように比較対象としてよく挙げられるのが、「C値(気密性能)」です。C値とは、建物にどれだけ隙間があるかを示す指標で、値が小さいほど隙間が少なく、気密性が高いことを意味します。
 
では、なぜ気密性を上げる必要があるのでしょうか?
 
それは単に「隙間風を防ぐ」ためではなく、空調や換気を設計通りに機能させるためです。住宅は計算上、換気装置が家全体の空気を2時間に1回入れ替えるように設計されています。しかし、隙間が多いと、想定外の場所から空気が出入りしてしまい、計画通りの換気が行われなくなります。結果として、空気の流れが乱れ、部屋ごとに温度差や湿度差が生じてしまうのです。
 
また、気密性が低い家では、外気の影響を受けやすく、冬は冷たい空気が壁内に入り込んで結露を起こし、家の耐久性を低下させるなどの他のリスクもあります。
 
つまり、気密性能は「断熱性能を活かすための土台」であり、気密が取れて初めて、断熱・換気・空調が正しく機能するといえるでしょう。愛知県のような温暖地でも、C値1.0以下を目指すことで、室内の温度ムラが減り、空調効率も大きく向上します。誠一建設では直近2年の平均でC値0.3という高水準を維持しており、こうした数値が「体感の安定性」につながっています。気密性能とは、暮らしの快適さを左右する、極めて実用的な性能指標なのです。
 
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2. 愛知県の気候特性から快適性を考える

愛知県は、冬は晴天率が高く、比較的穏やかな気候ですが、夏は湿度が高く蒸し暑いのが特徴です。この「温暖地型気候」では、冬の日射取得と夏の日射遮蔽をどう設計に落とし込むかが、住み心地を大きく左右します。
 
2-1. 冬の日射を活かす
 
冬の陽射し
 
冬の晴れた日の南面から差し込む日射は、1㎡あたりで約500〜700Wもの熱エネルギーがあります。これは小型の電気ヒーター1台分に匹敵するほどの暖房効果があります。
 
つまり、南面の窓を上手に設計するだけで、暖房負荷を大きく減らせるということです。基本のポイントは南面の窓を適度に大きくし、日射取得型の窓を採用すること。断熱性能を上げるよりも、日射を正しく利用する設計の方が、体感温度の上昇には効果的なケースも多いのです。
 
2-2. 夏は「外で日射をカット」する
 
夏の日射
 
一方で夏の日射は、遮らなければ一気に室温を上げてしまいます。特に夏の南面・西面の窓は強い日差しを受け、遮熱ガラスだけでは不十分なことも多いです。
 
そこで最も効果的なポイントは「外部で遮る」こと。庇(ひさし)・外付けブラインド・シェード・グリーンカーテンなどを使い、窓ガラスに到達する前に日射をカットするのが理想です。
 
室内側のロールスクリーンでは、すでに熱がガラスを通過しているため、遮熱効果は半減してしまいます。「外付け遮蔽」は、断熱性能では推し測れない体感快適に直結する要素です。
 

3. 通風と換気の再考

 
換気扇
 
パッシブデザインでは、古くから「通風で涼を取る」ことが重視されてきました。しかし、愛知県のような湿度の高い地域では、通風による体感快適性は限定的です。外気温が30℃を超え、湿度が70%を超えるような夏日には、通風しても熱気と湿気を室内に取り込むだけになります。
 
そのため、現代住宅では「通風」よりも計画換気+空調の連動設計が重要です。全熱交換型の換気システムを使えば、外気の熱と湿気をある程度抑えながら新鮮な空気を取り込むことができます。
 
また、空調も“最適な能力”の全館空調など、家全体を穏やかに冷やす方式を採用すれば、部屋間の温度差が小さくなり、湿度も一定に保ちやすくなります。快適性を高めるうえで、温湿度の安定をいかにコントロールするか?は非常に難しいポイントなのです。
 

4. 「数値」以上に「体感」- 誠一建設の考え

 
誠一建設の考え
 
私たち誠一建設では、UA値やC値といった性能指標は1つの指標として重要にしながらも、「体感としての住み心地」を最も重視しています。家づくりでは、性能数値をただ競うのではなく、気候・立地・間取り・暮らし方の全体バランスを取ることが何より大切です。
 
たとえば南側に建物が迫る土地では、いくら断熱性能を高めても冬の日射取得が得られません。そうした場合は、吹き抜けやハイサイドライトで採光を補う設計的工夫が必要になります。
 
また、断熱材やサッシのグレードアップにコストをかけすぎるより、外付けシェードや換気システムに適切に配分することで、より現実的かつ快適な住まいが実現します。「数値上の性能」と「実際の住み心地」は、似て非なるもの。体感としての快適さとは、温度・湿度・光・空気の流れが調和している状態を指します。
 
私たち誠一建設は、この“体感のバランス”を重視した設計を行い、愛知という地域に最適な「ちょうどいい性能の家」をご提案しています。ぜひ、気になった方はお気軽にご相談ください。
 

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