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今回は「気密性」に焦点をあてて、新築時に知っておきたい豆知識をお伝えしていきます。そもそも、気密性とは?気密をよくすると、一体何が違ってくるの?こんなポイントをしっかり抑えて、後悔のない家づくりにしていきましょう。
それでは、まず「気密」に関するポイントからお伝えします。

住宅の性能を語るうえで、「断熱性」と並んでよく耳にする「気密性」。この気密性とは、家の中にどれだけ“すき間”があるかを数値で示したものです。
どれほど高性能な断熱材を使っても、壁や窓、床、天井のわずかなすき間から空気が漏れてしまえば、冷暖房・換気の効率が下がり、計画した性能が十分に発揮されません。
つまり、気密性とは「断熱性能を生かすための土台」であり、家の“体幹”とも言える部分。設計図ではなく、実際に建てた後に測定してはじめて分かる数値というのも大きな特徴です。
1-1. 省エネ基準では明確な基準値はないが…
出典:とっとり健康省エネ住宅 『NE-ST』
2025年現在、省エネ基準の中で「気密性」に関する全国統一の基準値はまだ設けられていません。これは、地域差や工法の違いなどにより、全国一律での数値設定が難しいためです。
とはいえ、住宅性能を重視する自治体やビルダーの中では、独自の基準を設けているケースも増えています。たとえば高性能住宅の取り組みが進んでいる鳥取県(とっとり健康省エネ住宅NEST)では、C値(すき間相当面積)1.0cm²/m²以下を目標値としています。
C値とは、建物の延床面積1㎡あたりにどれくらいのすき間があるかを表す指標で、値が小さいほど気密性が高いということになります。一般的な住宅ではC値2.0〜5.0程度の場合も多く、C値1.0を切る住宅は、気密施工の質が高い住宅といえます。
気密性をよくするで、主に3つの効果を得られます。
2-1. 室内の空気が「計画通りに」入れ替わりやすい

気密性の話になると、「あまり気密を上げすぎると息苦しい家になるのでは?」と心配される方もいらっしゃいます。しかし実際は、その逆です。
気密が高い家は“密閉された家”という誤解を持たれがちですが、実際には必要な換気は、換気設備によって常に行われています。気密性が高い家は給気口からしっかり空気が供給され、本来の場所から排気されていくので、室内の空気の淀む箇所が少なくなります。
一方で、気密が悪い家では、壁のすき間やコンセントまわりから外気が侵入し、本来換気をしなければならない場所から換気が出来ず、家の空気の流れを乱してしまいます。そのため、気密性がわるい家は、“勝手に換気されている” “換気扇はまわっているだけ” という状態に陥りやすくなり、気密性を上げることは換気計画でも重要です。
家の空調された空気の熱を有効利用できる、熱交換型換気扇があります。この熱交換型の効果は、気密性が良くないと最大限の効果が発揮できません。
なぜなら、換気扇での換気経路以外から外気が流入(もしくは漏れ出ていくため)してくる量が多いと、熱交換することなく勝手に換気されてしまうためです。せっかく、高価な熱交換型の換気設備を導入するのであれば、気密性をよくしましょう。
2-2. 室内の温熱環境も「計画通りの結果」になりやすい

住宅の温熱環境は、「断熱」「気密」「換気」「日射取得」の4要素がバランスよく整ってこそ、快適でエネルギー効率の良い空間になります。この中で気密性が低いと、計算上はうまく設計していても、現実の温度分布や換気量が理論通りに機能しなくなります。
結果として、室内の空気が入れ替わりにくい場所ができることで、カビが発生するリスクなどが高まります。気密が確保されてこそ、換気も空調も設計通りに機能し、温度ムラの少ない快適な空気環境が保たれるのです。
2-3. 構造躯体の長寿命化に

気密性を高めることは、見えない部分の耐久性にも大きく関わります。
壁内に湿った空気が入り込むと、冬場には内部結露が起こりやすくなります。この結露は、断熱材の性能低下だけでなく、木材の腐朽やシロアリ被害の原因にもなります。
高気密住宅では、壁内への空気漏れを最小限に抑えられるため、構造体を長持ちさせる効果も期待できます。家の性能を「省エネ」だけでなく「耐久性」の視点で考えるなら、気密性は見逃せない要素なのです。
出典:気密測定器
気密性能の測定は、気密測定機という専用の機械を用いて行います。これは、建物の換気口などをすべてふさいだ状態で行い、機械を使って屋内外の気圧差をつくり出し、その圧力を保つために必要な空気量から“すき間”の大きさを割り出す方法です。
実際の測定は、次のような流れで行われます。
この作業を行うことで、施工の精度を数値で“見える化”できるのです。
気密測定は、住宅会社にとっては「施工品質の証明」であり、施主にとっては「安心の可視化」。もし皆さんが建てる家の性能を確かめたい場合は、気密測定の実施有無を確認することをおすすめします。
断熱材や窓性能だけに注目して気密を軽視すると、計画換気が機能せず、空気の流れが偏ったり、壁内結露やカビの発生リスクが高まったりする等、見えない部分でリスクが生まれます。これらはすべて「目に見えにくい」「すぐには起こらない」ため、後になってから気づくことが多いのが厄介な点です。だからこそ、新築時にしっかりと“気密性”を確保することが、将来の安心を左右します。
誠一建設では全棟、中間検査時に最低でもC値0.5cm²/m²以下を目標に、細部まで丁寧に確認しながら一棟一棟気密測定を行っています。こうした取り組みの結果、直近2年の実測平均はC値0.3と、安定して高い水準を維持できています。
また、気密測定は見学会としても実施しており、どんな形で測定しているのか?実際の数値までご自身の目で、見学することも可能です。 「自分の家がどれだけ精度高くつくられているのか」をその目で確かめられる貴重な機会として、多くのお客様から好評をいただいています。
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