COLUMN

耐震等級3は当たり前?いま選ぶべき本当に地震が強い家とは


 
愛知県でも地震の不安はぬぐえない中、今回は家づくりにおける大事なポイントである耐震性をピックアップして解説します。
「新築だったら、だいたい地震に強いでしょ?」「耐震等級3だったら、みんな同じなんじゃないの?」こんなことを感じている方は最後までご覧いただくと、参考となる内容になっています。
 
それでは、「耐震等級」についてのポイントをみていきましょう。

「耐震等級」のポイント

  • 熊本地震では2000年以降に建てられた比較的新しい家でも被害が出ており、新しい家=安心とは限らない
  • 家の耐震性を計算する方法には大きく3つある
  • 「許容応力度計算を含む構造計算で計算した耐震等級3」がもっとも安心感が高く、「相当」などに惑わされないよう注意
  • 耐震性は後から補強することも難しく、新築時にしっかり考えておくべき性能である

1. 新しい家=安心とは限らない

損害比率出典:くまもと型住宅生産者連合会
 
上記は、建築年数別での熊本地震における被害状況のまとめです。「旧耐震基準は危ない、新耐震基準であれば大丈夫」という認識を持たれている方も少なくありません。
 
しかし、この表をご覧いただくと確かに旧耐震基準(1981年5月以前)の建物は、被害が甚大であるものの、いわゆる新耐震基準の家でも被害が発生しています。この熊本地震の教訓から、みなさんには「新しい家であれば地震に強いだろう」という先入観をまず払拭してほしいことをお伝えします。
 
1-1. 耐震等級3を当たり前にしていく理由
 
地震
 
上記の表から2000年以降の建物でも、被害が大きくわかれているポイントがあります。それは「耐震等級3か否か?」という部分で、同じ2000年以降の着工でもここで大きな差があります。被害が大きかった益城町で、耐震等級3で建てられていた家が全部で16棟ありますが、そのうち14棟は無被害でした。残りの2棟も軽微な損傷で済んでおり、耐震等級3にしておくことで安心感が高まります。
 
耐震等級3は建築基準法の約1.5倍以上の耐力を示しますが、現行の法律ではこの1.5倍以上の等級3が一番上のグレードです。長く資産となる新築、必ず耐震等級3にしましょう。
 
1-2. 建築基準法では「倒壊しなければOK」?
 
驚く人
 
元々、家を建てるための基準をまとめた建築基準法では、「震度6強~7クラスの1回の地震で倒壊しないような設計」が求められています。この内容を少し揚げ足取りのような見方をすると、震度6強~7クラスの地震で倒壊はせずとも、半壊する設計は許される?となるわけですが、実は法律の規定では倒壊しなければいいのです。
 
建築基準法では、大地震の後に安心して住み続けることができるかどうか?は考慮されていない基準になっています。さらに、1回の地震では倒壊せずに耐えて、住んでいる人が逃げられることを最優先とする、という考え方になっています。これも1回の大地震は想定されていますが、連続して震度6強~7クラスの地震がくることは「想定外」とされています。
 
新耐震基準だったら大丈夫?と思いがちですが、実はこんな基準がベースとなっており、これがいわゆる建築基準法での耐震等級1のレベルです。そのため、この状態に少しでも不安を感じる住宅会社やお施主様は、これ以上ない基準としての耐震等級3を選ぶわけです。

2. 耐震性の計算方法をチェックしよう

 
指をさす女性
 
つづいて、住宅会社を選んだり、ご自身の間取りにおける耐震等級を確認したりする中で、チェックすべきポイントがあります。それは耐震性の「計算方法」です。数学では出る答えが100であれば、100以下でも100以上でもありません。しかし建築における耐震性は、同じ等級3であっても計算方法が異なれば、その実態の強度が変わってくる可能性があります。
 
2-1. 簡易な計算方法と詳細な計算方法
 
設計図
 
家を新築する際にはもちろん、地震で倒れないようにする計算を行います。この計算には大きくわけて3つあります。
 

  • 壁量計算(仕様規定):もっとも簡易的な計算(本計算では耐震等級は算出できない)
  • 品確法:長期優良住宅を取る際につかう計算
  • 構造計算(許容応力度計算):もっとも詳しく緻密な計算

 
この3つのいずれかの計算方法で、家の耐震性を推しはかります。
上記の計算方法がどれだけ違うか?をわかりやすくお伝えすると、壁量計算はA4の紙1~2枚でおさまる計算です。文字通り壁の量が不足していないか、4分割に割った時のバランスが保たれているか?といった簡易的なチェックを行ないます。
 
それに対し、構造計算は何百枚にも及ぶ計算結果となってきます。地震でもっともエネルギーがかかる接合部の強度や、家にかかる様々な力(自重・雪など)を複合的に計算していきます。また、建物本体だけでなく基礎の強度なども計算して、大地震がきたときにどこにエネルギーが加わりやすいか?を算出して、構造躯体の強度を設計していきます。
どちらが家の耐震性に信用がおけるか?は一目瞭然です。
 
2-2. 実邸のプランでシミュレーション
 
地震資料出典:誠一建設・資料
 
さらに安心感を高めるために、実際建築予定のプランで揺れのシミュレーションをしてみることをおすすめします。上記は「ウォールスタッド」という計算ソフトを用いて、実物大実験と同様の動きをパソコン上で再現できるものです。構造計算で、家の耐震性は確かなものとなっているものの、地震の際にどこにエネルギーがかかりやすいか?などをシミュレーションで可視化することができます。
 
家は大きな資産となるモノなので、このように二重・三重の安心感で地震への備えをしておくにこしたことはありません。
 
2-3. 「耐震等級3相当」とは
 
考える人
 
最近はだいぶ減ってきていますが、耐震等級3相当というPRを見かけることがあります。先ほどの計算方法の中で、簡易的な壁量計算では耐震等級3を算出することはできません。しかし、壁量計算で求めた壁の量を単純の1.5倍にして、「耐震等級3相当」としているケースがありますが、耐震性はそんな簡単なモノではありません。
 
壁量計算では、地震のエネルギーを考える時に大事なポイントである、接合部や基礎の強度は考慮されません。「許容応力度計算を含む構造計算で計算した耐震等級3」がもっとも安心感が高く、「相当」などに惑わされないよう注意しましょう。
 

3. 耐震等級は後から補強が難しい

 
建築現場
 
耐震性は、建物の安全性を左右する極めて重要な性能です。しかしその性能は、建物の構造や基礎部分に大きく依存しているため、完成後に耐震性を高めるには大規模な工事が必要となります。たとえば、耐力壁の追加や基礎の補強などはリフォームでの施工が難しく、もし施工しようとしても多くの時間と費用がかかってしまいます。また、間取りの自由度が後から制限されることもあります。
 
特に耐震等級を1から3に引き上げるような補強工事は、構造全体を見直す必要があるため、現実的には後からでは困難と言えます。だからこそ、新築時にしっかりとした耐震計画を立てることが重要です。万が一の地震から家族の命と暮らしを守るためにも、建築前に耐震等級3を構造計算で確保しておくことが、最も確実で賢明な選択だと言えるでしょう。
 

4. まとめ

 
多くの方が今回冒頭で紹介したように、新築だったら大丈夫だろうという先入観があります。しかし、愛知県はずっと昔から東南海トラフのリスクが懸念されているエリアでもあります。今回解説した熊本地震での教訓などもあり、家づくりにおいて家族の命を守る大切なポイントが耐震性です。家づくりをする際には、住宅会社に必ず「構造計算による耐震等級3で設計してください」と伝えましょう。
 
愛知県豊川市の誠一建設では今回ご紹介した、構造計算による耐震等級3での家づくりに加えて、全棟でウォールスタッドでの検証を標準で対応させて頂いています。今回のコラムや誠一建設の施工事例などが気になった方は、お気軽にご相談にお越しください。
次回は、ウォールスタッドのことを詳しく掘り下げて解説しますので、お楽しみに!
 

一覧に戻る